初めてとなる今回の交流会では、島根大学法文学部の出口顕教授・副学長をお招きし、「北欧の国際養子縁組と越境する家族形成」と題して、ご講演いただきました。講演では、最初に「人種」という言葉に科学的根拠は薄く、文化人類学ではほとんど使われていないという話から始まりました。シングル(独身)、同性のカップル、そして生物学上の「本当の」子供がいても養子をとる場合もある実例が報告され、養子を出す理由として貧困や宗教的な理由による中絶禁止が挙げられ、受け入れ側の理由としては、親の老後は兄弟全員で世話をするという「北欧」の社会的な背景があること、キリスト教的・人道的理由から行われることが多いことが説明されました。
司会からは前近代北欧の家族形成の事例やE・トッドの家族研究が紹介され、フロアからも日本でそうした例が聞かれないのは宗教的・思想的に理由があると思うかとの質問も飛び、休憩時間や第二部に予定されていた交歓会の時間のほとんどを使っての活発な議論が行われました。
会場では交流会終了後も会員同士が意見を交換する場面が見られ、良い交流会の場になったのではないかと思います。
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